・ 人間を含めた一部の動物は、叉骨の代わりに鎖骨を持っている。が、これは左右に分かれており、V字型ではない。
人間たちには翼がないから飛ぶことはできない。でも、腕があるから、木登りができるし、手に何かを握ることもできる。
・ 鳥の翼は、人間では腕にあたる。鳥は翼で空を飛ぶことができるけれど、腕はないので、何かを握ったり抱くことはできない。
鳥の叉骨は、左右の鎖骨が癒着してV字型になったと考えられている。鳥は恐竜から進化した生き物だが、叉骨を持つことのできなかった恐竜たちは鳥に進化できなかった、という説がある。
…となると、天使には叉骨はあるのだろうか。ペガサスはどうだろう?などと考えてみたくもなるが、キマイラは、進化の歴史から外れた生き物だから、除外するとして。でも、始祖鳥だったら、きっと叉骨はあるはず。となると、鳳凰もあるんだろう、叉骨。はてさて、どんな叉骨なのか。
伝承魔術では、叉骨の使い方は、おもに2種類ある。
1・叉骨の両側に、2人がそれぞれ、小指をかけて、せーの、で引っ張り合う。骨がポキッと折れた時に、大きいほうの骨を手にした人は幸運。願い事を唱えると叶う、というもの。いわば運試しのゲームね。これが一般的。聞くところによれば、クリスマスやバースディパーティーの伝統的な余興だという。お骨折り、お疲れ様。
2・叉骨を、家の戸口、あるいは壁にかけておくと幸運が舞い込む。未婚の女性が戸口にかけたなら、結婚できる、というもの。あるいは安産のお守り。珍しいものをインテリアとしてお守りにする、というような意味合いなのだろうか。鶏は卵をたくさん産むから、安産とか結婚のお守りにはふさわしいのかも知れない。左右の鎖骨が癒着してV字型になった形にも、なにやら縁結びや癒合の力があるように感じられるのだろうか。
だいたい、翼持つものは天意のメッセンジャー。鳥がとまったところ、鳥が飛び立った時、鳥が鳴いた方角。それらによって、人々は未来を占ってきた。屋根に黒い鳥がとまったら凶兆、白い鳥が舞ったら吉兆、などなど。
ローマの建国者であるロムルス(Romulus、紀元前717年生)は、双子の弟のレムスと、どちらが王国の支配者にふさわしいかを決めるために鳥占いをする。それぞれが城壁を築くにふさわしいと考える丘に、祭壇を用意し、神意を問うたのである。まず先に、レムスが用意した祭壇には、鷲が6羽舞い降りた。後にロムルスの祭壇には12羽の鷲が舞い降りた。先に舞い降りたほうか?それとも数が多いほうか? なかなか難しい判定であり、結局、判定はできなかったのだが、鳥の行動イコール神託という構造であることは確かだろう。
鳥に穀物をついばませるという占いもあり、これは中世ヨーロッパでも密かに行われていたらしい。キリスト教圏では占いは原則禁止ですから、魔女的にですけどね。26個の穀物を円に並べ、アルファベットに対応させ、鳥がどの穀物をついばむかによって占うというもの。他の象意に対応させてもよく、数は適宜変化し、もちろん人物に対応させてもよい。知りたいことはニワトリちゃんが教えてくれる、というもの・・・。でも、ニワトリに結婚相手を選んでもらうのって、ちょっとどうなのよ、とは思うわ。
鶏どうしを戦わせる闘鶏は、もともとが戦の勝敗を占う鳥占いであった。これは、平家物語にも登場し、源氏と平家の運命を決める重要な役割を果たしている。
さて、丸ごとローストしたチキンやターキーが食卓に上った時などは、叉骨を取り出す絶好の機会。が、叉骨って、細くて脆いので、乱暴に捌くと、壊れてしまって、わからなくなってしまう。脆くて珍しい。これも叉骨の神秘性を高める要因なのだろう。
ペキンダックにも、叉骨はあると思うけど…。雉は?鴨は?などと、あれこれ考えてはみるものの、ペキンダックは予算の関係で無理そうだし、丸鴨、丸雉に至っては、入手方法がよくわからず。
たまにケンタッキーフライドチキンに入った時や、鶏ガラを買った時などに、叉骨を探してみたけれど、やはりよくわからない。
ええい、しかたないので丸鶏買ってみた。大きさにもよるが、私が購入したのは定価1600円…が3割引になったところを狙って。「あら、ローストチキンとか作るんですか?」と、顔見知りのレジのお姉さんに聞かれました。「え、あ、はい、まあ、そうね、時々。」とか、曖昧に答える私。叉骨が目的なんですよ、なんて本当のことは答えられないじゃないですか。
で、丸鶏、料理開始!
当初はオーブンに入れて焼こうかと思ったんですが・・・わりと大きく、オーブンに入らず、蒸し鶏にすることに。ただ、腿を外して焼くというのはアリだったかも知れません。
ローストチキンは、皮がおいしいのですが、あのぱりぱりの皮を作るには、塩を適当に擦り付けて、まず干します。皮が乾燥してから、油を塗って焼く。理想的には、半日ベランダで天日干しですが、冷蔵庫の中で、1日半ぐらい乾燥させてもOKです。とにかく、乾かしてから焼く。蒸すときにも同様で、まずは塩を擦りこみ、表面を乾燥させてから。そうすると、肉の水っぽさも消えます。塩は、肉の水分を吸収し、なおかつ肉を硬く絞める効果があります。
ペキンダックって、皮を食べる料理です。皮に水飴を塗って焼く。水飴を塗る前にはやはり乾かすのです。もちろん、鶏皮でも、似たようなものは作れます。
蒸すのは強火で、30分位はしっかりと、中まで火を通す。蒸したチキンは、冷めてから薄く切る。切れるナイフで本当に、薄~く。薄切りのオニオンとマスタードで、まずはサラダに。パンと、少々のクレソンかパセリがあれば、それで十分です。
中華バージョンがお好きな人は、花巻きパンに、バンバンジーソース、キュウリかレタス、ウーロン茶でどうぞ。つまり、蒸し鶏は、パンと少々の野菜があれば、食卓が整います。前日に蒸して、冷えたら冷蔵庫に入れておけば、料理は簡単。
丸鶏からは、もちろん、スープも取れます。蒸し器に溜まったスープを、スープストックに。冷えると固まり、冷たいスープジュレになります。
と、ランチメニューのことはこれぐらいにしておいて。
…叉骨の形からすると、ダウジングに使えるのではないか、と私は思ったわけです。V字型の両端を軽く持って、ダウジングロッドにできるんじゃなかろうか、と。…とりあえずやってはみますが、なんかコツが必要かも知れませんね。骨だけに。
鳥の叉骨とダウジング。ダウザーの堤裕司氏に、鳥の叉骨でダウジングするという話はありませんか?と伺ってみました。それは聞いたことがない、というお返事をいただきました。ダウジングの専門家がそうおっしゃるのですから、これはやはり難しいのでしょうけれど…。う~ん、いかにもダウジングに適した形のようにみえるんですけど…?
楔形にもみえる叉骨を投げ、その尖った先で占う…というようなバリエーションも、もしかしたらアリかもと、叉骨の形を眺めているだけで、さらなる想像が羽ばたいてきたりもしますが。ああ、空想家の頭の中には、きっと、想像の叉骨があるに違いなく。
ヨーロッパでは(おもにラテンの国、イタリア、フランスあたりの文化圏)、叉骨の形を模したアクセサリーを幸運のお守りとして売っているのを見かけるといいます。まあ、肉屋の店先で魔術用の叉骨を売っていたりは…しないでしょうけれど。 (秋月さやか)
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