2014年4月22日火曜日

SoupStone、あれこれ。ミネラル補給の石、調理用の焼石、そして現代のSoupStoneは…。

 SoupStoneは、子供の頃、英語の絵本で読んだ話だが、たぶん、英語圏では誰でも知っている話なのかも知れない。

 一人の旅人が道を歩いていた。そろそろ村が見えてくるという頃になって、旅人は、道端の小さな石ころをひとつ拾ってポケットに入れる。何の変哲もない、ただの石ころ。
 日暮れに村に着いて、宿を探すが、どの家でも、食べ物がないので泊められない、と断られる。ようやく、食べ物はないがそれでもよければ、と旅人を招き入れてくれる家を見つける。
 
 その家にも食べ物はなく、みんながお腹をすかせていた。旅人は「鍋を貸してくれないだろうか」と申し入れる。食べ物を持っているのか、と聞かれるが、「いいや、食べ物は持っていない、でもこれがある」と、さきほどの石ころを見せる。
 その石はなんだね?と訊ねる家の主に、「これはSoupStoneさ。スープを作ってくれる石。」と答える。まさか、そんな魔法みたいな話、と、家のみんなは笑う。
 
 「ところで、塩をひとつまみ、貰えないだろうか。」と旅人は言う。塩ぐらいだったらあるだろう、と誰かが台所を探して塩を持ってくる。

 旅人は鍋に水と塩、そして石を入れて火にかけ、鍋の中をかき回し始める。しばらくして、鍋の水が湯になる。すると、鍋を見ていた一人が言う。「納屋にたまねぎが幾つか残っているかも知れない」。そこで、納屋の隅にあったしなびた玉ねぎが探し出され、鍋に入れられる。

 旅人は鍋をかき回し続ける。そのうち、別な一人が言う。「もしかしたら、裏庭を掘れば、にんじんが残っているかも知れない。」そして、裏庭から小さなにんじんが掘り出され、鍋に入れられる。

 旅人はまた鍋をかき回し続け、煮えたたまねぎとにんじんの香りが湯気に乗って漂い始める。と、また別な一人が言う。「おととい、茂みの中にわなを仕掛けておいたんだが・・・何かかかっているかも知れない、見てこよう」。はたして、罠には兎がかかっており、鍋に入れられる。

 たまねぎとにんじんと兎の肉。「さあ、スープが出来たよ、みんなで食べよう」。旅人と家の者達は、その夜、暖かいスープを食べることが出来たのでした。

 次の日、旅人が出かけようとすると、家の主が、その素晴らしい石が欲しい、と言い出し、(たしか、旅人にマントか何かを与えて)、石を貰い請ける、とまあ、そんな話だったような気がしますが。
 
 さて、この話にはどんな意味が含まれているのか。
 ほんの少しづつでも集める努力をすれば、物事はなんとかできるものなのだ、という教訓かも知れない。
 なんでもない石ころでも、意味づけによっては価値があるものになる、というお話なのかも知れない。
 
 それは果たしてどんな石だったのだろうか。石英だったのだろうか、それも鉄鉱石のかけらだったのだろうか。

 以前、岩手の食器屋で見かけた南部鉄の小さな塊は、やかんの中に入れて湯を沸かすと、鉄イオンを補給し、お茶の味をよくするのだという。言ってみれば、TeaStoneか。
 ヘモグロビンの生成には鉄イオンが必要だから、鉄が不足すると人は貧血になる。南部鉄の塊は、鉄イオンを補う貧血防止石でもあるという。実際、貧血気味の人にとって、鉄瓶でお湯を沸かすのは、有効な貧血防止策なのである。
 鉱物、ミネラル。微量のミネラルは、人間の健康に必須。ミネラルが不足してしまうと、健康状態に支障が出ることもある。その反対に、体内に過剰なミネラルを取り込むことで生じる疾患もある。
 鉄鉱石の他にも、ミネラル補給ができるような石はありそうな気がするが、しかしながら、やたらな石を用いると、これはこれで問題がありそうではある。
 
 ところで、古代人は、焼けた石を調理に使った。器に水と食材を入れ、その中に焼けた石を入れると、水が沸騰して食材が煮える。土器、あるいは木の器を用いても、この調理法は可能である。野外キャンプで、この調理法を用いることも実際にある。「焼け石に水」という諺は、たいして役に立ちもしない働きかけのことを言う言葉であるが、しかし「水に焼け石」と順序が変わると、これがなんと、有用な手段となるのである。
 現代の調理では、もちろん鍋に水を入れて火にかけて煮炊きするのが普通だけれど、木の器は火にはかけられず、土器だって高温で焼いたものでないと、水を入れて火にかけることはできない。とにかく、湯で食材を煮るという調理方法は、火で焼く調理方法よりも、はるかに後から発生したものであって、初期の煮炊きは、水の中に焼けた石を入れて行われた。となると、水の入った器に入れる焼石は、広義の意味でのSoupStoneになるのではないだろうか。
 
 
 現代では、もちろん鍋の中に石を入れたりはしないが…。しかし、スープを作る時に、現代人が必ず入れるSoupStoneがある。それはコンソメスープの四角の塊。この塊を入れて、鍋を火にかければ、スープが出来る! そして、ほとんどの家庭には、このSoupStoneが常備されている。
 コンソメスープのモトなんて嫌い、という人の場合でも、スープストックを冷凍キューブにして保存しておく、という上級者向けテクニックを活用することは多々あるはず。実際問題、日々の食事作りで、一からスープを取るのは時間的に難しいので、私ももちろん、この現代版SoupStoneのお世話になっているわけですけどね。   (秋月さやか)


 

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