2016年9月20日火曜日

「しょうがない」の反対は「生姜あれば憂いなし」 ・・・えっ?!

生姜の古語「はじかみ」は、食べるとはじかんじゃうから。


 生姜は日本には大陸から2世紀頃に伝わったとされる薬用植物。

 古くは「くれのはじかみ」と呼ばれていたということですが、「はじかみ」とは辛い味に顔をしかめて歯をむき出すことを意味する「はじかむ」という古語が語源なのだとか。なんだかワイルドな表情のようですよ。歯が不揃いに生えている様を言った言葉という説もあるのですが、不揃いな歯を剥きだすっていったら、まるでう~っと唸って牙剥いているみたいなもんでしょうが。

 まあとにかく、生姜を齧ったら(その強烈な味に)、顔がはじかんじゃった、というような使い方をしていたんではないでしょうか。ちなみに、山椒は「房はじかみ」、やはり、食べると顔がはじかんじゃうんですね。
 
 「はにかむ」という言葉は、恥ずかしそうに顔を赤らめるみたいな意味で今は使われていますが、もともともとは「はじかむ」が語源だったのだとか。恥ずかしく、きまり悪くて、まるで辛い物を食べて顔をしかめるように歯をむき出してしまう不快な表情のこと。

 となると、「はにかんでいる君の顔がカワイイ」なんていう使い方は、古語としてはNG! もしも平安時代にタイムスリップしたなら、「はにかむ」女子は、強烈な表情で嫌がっているということですよ、それ。
 
 
 さて、生姜は漢方薬にも用いられる薬効植物、いわゆる薬味ですが、その3つの効用とは、シネオールで胃をすっきり、ジンゲロールで殺菌、ショウガオールで体を温める。
 
 生姜のあのさわやかな香りは「シネオール」で、これが健胃、食用増進をもたらすのだそう。
 
 辛味成分の「ジンゲロール」は殺菌作用。刺身にすりおろした生姜を添えるのは、魚の毒にあたらないためだっていうのですが、たしかにジンゲロールには優れた殺菌作用があります。ただしジンゲロールは、同時に発汗効果によって体温を下げる解熱効果があるため、夏の暑さを和らげるには最適ですが、冬は体を冷やすのだそう。

 そして「ショウガオール」。ジンゲロールは乾燥や加熱によって「ショウガオール」に変化します。この「ショウガオール」には体を温める働きがあるということです。そのため、寒気を伴う風邪の初期症状の治療に使われます。

 ということで、健胃、解毒、風邪など、日常の体の不調には生姜! 古くからお手軽な民間薬として重宝されているのが生姜。 そう、生姜さえあれば! 「しょうがない」の反対は「生姜あれば!」(違うって?!

@生姜

    

生姜を英語で…ジンジャー! Oh!ジンジャの門前で生姜を売るのが生姜市?


 まずは芝明神の生姜市のお話から。芝明神の大祭は現在、9月16日の前後、11日から21日までの秋祭りですが、かつて境内では生姜市が開催されていたのだとか。

 芝明神は平安時代の創建された古い神社で、今では芝大門のビルや商店街の中にあるわけですが、昔はその周囲は畑。畑で生姜された生姜を神前に供え、参拝者に授与していたということです。
 
 生姜の毒消し→諸厄を祓う。体を温めて健康にする→長寿をもたらす。「生姜は穢悪(えお)を去り神明に通ず」ということで、江戸時代には、芝明神の秋祭りには山積みの生姜を売る市が立っていたということです。
 生姜を食べれば風邪ひかない、胃を健やかにする、と人々は健康食品としての生姜を買いにやってくる。健康食品がブームなのは今も昔も変わらないし、神社の門前で売っているのであれば、なおさら霊験もあるんじゃなかろうか、と。
 
 今では、文献に記されているような盛大な生姜市はもう行われておりませんが、神社の社務所では生姜を買うことができます。今夜はこれをすりおろして、戻りカツオでも食べようかな。

 ところで甘酢生姜は大好物なので、夏の新生姜が出ると、私は必ず作ります。新生姜を薄切りし、砂糖を酢を混ぜた甘酢に漬けるだけ。簡単でしょう? 

 甘酢は、カップに砂糖1、酢を2の割合で混ぜて煮立たせても。耐熱ガラス鍋で作って冷めたところに、薄切り生姜に塩をまぶして揉んだものを入れ、そのまま冷蔵庫に入れちゃう。一度やってみてください、簡単に出来るから。ポイントはとにかく生姜を薄く切ることですかね。(厚切りの生姜がお好きな方は、さっと熱湯にくぐらせてから甘酢に漬けてください。)

 
 芝明神は徳川幕府に庇護され、かつては「関東のお伊勢さま」と呼ばれていたぐらい、人が集まる賑やかな場所であったということです。

 今でも浜松町界隈は賑やかですが、そのまま芝大門を抜けて東京タワーの増上寺に行ってしまう人が多く、その手前で芝明神商店街に入る人は、今はそれほどはいないように見受けられますが、増上寺よりも芝明神のほうが、うんと歴史が古い。

 生姜板という菓子があります。これは生姜の絞り汁に砂糖水を加えて煮詰め、固めたもの。ジンジャーシュガーと呼んだほうがいいようなシロモノですが、「伊勢名物」なのだとか。



 これは江戸時代、寛政年間頃から、伊勢神宮の土産物として売られるようになったのだそうですが、もともとは、神宮(伊勢神宮)への神饌の一つであったのだとか。子供の頃、祖母が食べていたのを貰ったことがありますけど、なかなか刺激的な味に、はじかんじゃいましたわ。菓子というより、なんか甘い薬みたいなものというような感じ。

 芝では生姜板は見当たらなかったように思いましたけど、生姜飴があったので、思わず買ってしまいました。冬、乾燥した部屋などで喉がイガイガとした時の喉飴にしようっと。
 おそらく、生姜板も、そんな感じでお茶請けにしていたんではないでしょうか。「今日は冷えるから、生姜板でもおひとつ」っていうような感じで。
       (占術研究家 秋月さやか)
   



@神灯







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 現在、秋月さやかは「占いの世界」(アシェットコレクションズジャパン)に、「縁起食材」を連載中。2017年からは「道具の縁起」連載予定

こちらのブログでは、食材をテーマに書いていますが、
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