2013年10月18日金曜日

北条時政、江ノ島で龍女(リリス)と出会う。あたかも浦島太郎のごとし

 最近、パキスタンの沖合いに、地震島があらわれたといいます。地殻変動が激しい場所では、このようなことがよく起こります。江ノ島も、かつて、海中から隆起してあらわれた島なのです。
 突然、海上に島が姿をあらわせば、これまで海の底には、このような場所(聖域)があったのだろう、ということになります。海中の小島は、まるで城のようにも見えるでしょう。江ノ島を眺めていると、なるほど竜宮城伝説はそのようにして生まれたのだろう、とロマンをかきたてられます。

 江ノ島は、島全体が聖域でした。古くは役小角がここで修行したという伝説もあります。

 平安時代には、夢籠が盛んになりました。これは、聖域に籠もって、神仏のお告げを聞くことです。で、北条時政です。北条政子の父。時政は若い頃、江ノ島に夢籠したという話が伝わっています。
 何夜かを過ごし(たぶん、念仏を詠んだり、瞑想したりしながら)、、満願の夜に大蛇(龍女)があらわれたといいます。つまりは夢の中にその姿を拝んだのでしょう。そして大蛇は子孫繁栄を約束するのですが、もしも人の道に外れることをしたなら繁栄はたちどころに終わるであろうと告げて、姿を消します。大蛇が去った後に鱗が3枚残っていたことから、北条の家紋をミツウロコに改めたということです。

 実態としての龍女があらわれたというわけではないでしょう。龍女は乙姫様であり、つまりは夢魔です。リリスは、上半身女性、下半身蛇。大蛇の化身として旧約聖書の異本に登場しています。

 竜宮城にいた3年間に地上で七百年がたっていたとか、3日間いただけなのに地上では何十年も時が過ぎていたとか、時間軸が異なっているのですが、これはたぶん、数日間、聖域(江ノ島)に籠もっているうちに、潮の満ち干によって、何回も砂州があらわれたことを意味しているのかも知れません。
 つまり、もともと、聖域での時間の流れ方は、異なっている、「非時」という了解の上です。
 島に渡れるのは、潮が引いて砂洲があらわれた時だけですが、新月満月前後には、1日2回、砂洲があらわれます。砂洲があらわれる周期を、特殊な時間単位になぞらえていたのではないか、とも考えられるのです。
 
 さて、昔の江ノ島には、橋は架かっていませんでした。砂洲があらわれた時だけ、島に渡ることができた、特別な聖域だったのですから。しかし、現代の江ノ島には、橋が架かってしまいました。そして他と同じ時間が流れるようになったのです。だから、現代人が江ノ島で、時を超える夢を見ることはもうないのでしょう。

※ 写真は江之浦近くの根府川から海上の虹を写す



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